人気ブログランキング | 話題のタグを見る

三つのジャポニスム 解説

三つのジャポニスム ~I.鶴が舞う II.雪の川 III.祭り

 東京佼成ウインド・オーケストラの委嘱により作曲。日本的な題材を西洋的技法で表現。発表と同時にドイツ、スイスでも演奏されました。また、スウェーデンで開催された第11回世界吹奏楽大会“WASBE”とオーストリアでの“ミッド・ヨーロッパ”では、神奈川大学吹奏楽部により演奏され、今までとは違う日本的テイストを持つ曲として高い評価を得ました。
 やや高度な技術が要求されますが、"I 鶴が舞う"、"III 祭り"は単独でもコンサートやコンクールで高い演奏効果を持ちます。

作曲者 真島 俊夫 発表年 2001年
演奏時間 I. 6分30秒 II. 4分10秒 II. 6分

21世紀の吹奏楽「響宴」 より

 この曲は東京佼成ウィンドオーケストラの委嘱で書いたもので、私が日本的だと感じるものを、あくまで西洋的な楽器編成、音階、ハーモニー等の語法により、三曲から成る組曲にした。
タイトルの『三つのジャポニスム』は「三つの日本的なもの」という意味である。
 Ⅰ「鶴が舞う」は丹頂ツルの求愛の踊りである。丹頂ツルは頭頂部の赤と一部の黒い羽が全体の白い羽とのコントラストを見せて美しい。そして雄がコーと一声鳴くと、雌がコーコーと答える。 途中、鶴の羽ばたきと鳴き声の描写が入る。
 Ⅱ「雪の川」は冬の峡谷を静かに流れる川に、雪がしんしんと降り続ける墨絵のような光景を描写した。
 Ⅲ「祭り」は激しい日本の夏祭りを描写で、いろいろな祭りのリズムが目まぐるしく登場する音のコラージュになっている。中間部は夏の炎天下、青空に入道雲が出ている日本の夏の光景だ。やがて遠くから聞こえてくる太鼓は、私が子供の時から親しんだ母の生まれ故郷、青森の「ねぶた」のリズムである。(真島俊夫)

 2001年4月27日にダグラス・ボストック氏指揮の東京佼成ウィンドオーケストラにより初演され、その後5月に、ドイツとスイスに於いて演奏された。

●真島 俊夫(ましま としお)

和声法と作・編曲法を兼田敏氏に、ジャズ理論を内堀誠氏(故)に師事。
吹奏楽のための代表作品には 1985 年度全日本吹奏楽コンクール課題曲となった交響詩『波の見える風景』、同'91『コーラル・ブルー』、同'97『五月の風』、そして『ミラージュⅠ』。近作としては『三日月に架かるヤコブのはしご』『虹は碧き山々へ』『巴里の幻影』『音詩、海峡』『美しき山の歌』、また99年の『ミラージュⅡ』は同年7月にパリのギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団により初演された。
これらのオリジナルやジャズ・アンサンブルの為の作品は日本、アメリカ、オランダで出版されている。また最近はTVドラマの音楽も手掛ける。
'97年、日本吹奏楽学会アカデミー賞を受賞(作曲部門)。

by east-winds | 2008-02-23 12:51 | ♪楽曲解説♪